多田くん


消しゴムはんこを作りよって、かなり前の就活を思い出した。

一次筆記試験のときに、
会場でまっとったら隣の人がソワソワして
どうしよ、、、とめちゃくちゃ困っとって
大丈夫なんかな?と様子を伺いよったら、
消しゴムを忘れたのがわかった。

消しゴムを半分にちぎり、
隣の人に小さいですけど使って下さいと言ったら、喜びよった。

試験が終わってすぐに、
僕は多田といいますと自己紹介をうけ、
私は安河内ですと名前をつげたら、
多田くんが今からお礼がしたいと言い出した。

いやいや、お礼はいらないですよ⭕とハッキリと伝えたのに、この気持ちを抑えきれないと1人で舞い上がっとった。

大学の顔見知りとか、ネットでの繋がりがあった人ならいいけども、多田くんはいま知り合ったばっかりで、コミュ障の私は何を話していいかわからんし心の準備が出来てない、、ごめんね多田くんと思いながら、
2次試験でも会うとおもうんでその時にでもと、多田くんに告げた。

2次試験も緊張する上に、
友達でもないし、どこの誰だか知らん多田くんとご飯を食べに行くことになりそう、、
何かしらのオタクかゲーマーならいいんやけども、、

2次試験の当日、
面接が不安すぎて、普段は呑まんビールを数本あけて挑んだせいで記憶が殆どなく、
多田くんの記憶すらない、多分、会えてないと思う。。